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【#カンベアドベント】カントリーベアジャンボリーの文化誌

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Howdy folks!ジャンクションです。
本日はユーキャンさんの企画「カンベアドベント」に便乗し記事を公開させていただきます。今回は簡潔にまとめたので、だいぶ堅いお話となりますがお手柔らかにクション!



突然ですが、

皆さんはカントリーミュージックとは何かご存知でしょうか。田舎っぽい音楽、西部で演奏されそうな音楽、いろいろな答えが出ると思いますが、具体的に答えられる方は少ないのではないでしょうか。


ざっくり説明すると、カントリーミュージックとは、ブリテン諸島(イギリスの辺り)の民謡がアメリカ南部で発展した音楽のことです。カントリーミュージックアメリカ音楽の原点であり、現在のロックンロールの基本となった重要な音楽です。


これがどのような人々から生み出され、どのような変遷をたどったのかを知ると、よりカントリーベアジャンボリーを楽しめるようになります。まずはどのような人々がカントリーミュージックを生んだのか見ていきましょう!


スコッツ=アイリッシュ

1707年までスコットランドは独立国でしたが、強国イングランドとの戦争に敗れ、議会が併合、征服されてしまいました(スコットランド併合)。その後の1801年、アイルランドイングランドに征服されました(アイルランド併合)。こうしてイングランドは「グレートブリテンおよびアイルランド連合王国」という現在の名前になりました(名前長いね!)。それぞれの国旗が合体されてユニオンジャックになったのはこのときからです。



そしてスコットランド人たちはアイルランドの土地で農業を始めることになりました。彼らはスコッツ=アイリッシュと呼ばれます。彼らがここで育てたのは生産性の良いジャガイモです。が!1845年、ジャガイモが突然に病気にかかり、壊滅的な不作が起こってしまいます。これがジャガイモ飢饉と呼ばれる悪名高き食料難です。


これに対しイングランドは「食べ物が足りないからスコットランド人は出てけ!」と言いました。スコットランド人たちは「オメェらが統治する土地なんて住みたくないわ!」と、新天地である北アメリカ大陸への移民を始めました。自由と食べ物がある(っぽい)アメリカがカモンベイビーしてたわけです。


アメリカに渡りアパラチア山脈に住む


この頃は植民地時代の終わりだったので、アメリ東海岸の住みやすい土地は150年以上まえに入植していたイングランド人たちによって統治されていました。イングランド人の統治下に暮らすのはこりごりだったスコッツ=アイリッシュの人々は、当時だれも住んでいなかったアパラチア山脈に住むことにしました。アパラチア山脈ニューヨーク州からアラバマ州まで広がる巨大な山脈です。



なぜだれも住んでいなかったのかというと、土地が痩せていて、岩がゴロゴロしていて、しかも高地なので冬は地獄のように寒く農業に適さない土地だったからです。


しかし森林地帯には猟の獲物がたくさんいました。それが熊だったのです。具体的にはアメリカクロクマです。カントリーベアジャンボリーでなぜ熊たちが登場するのか、それはアパラチアに住む動物が熊だったからなんですね。ジングルベルジャンボリーでは人間をライフルで撃とうとするウェンデルというヴィランが登場しますが、これは人間に撃たれてきた熊のリベンジなのかもしれません。



森には他にもウサギやビーバー、キツネなどが住んでいました。アメリカ南部の民話を基にした「南部の唄」はジョージア州アパラチア山脈の南端側にある)の話ですが、登場するのがこのような動物たちなのは、このような土地柄が背景としてあるからです。


ヒルビリー」と呼ばれるようになる

アパラチア山脈に住んだスコッツ=アイリッシュのことを人々は「ヒルビリー (hillbilly)」と呼びました。hillは丘や山を指し、billyはWilliamというスコットランド系の名前の変形でスコットランド人のことを表すそうなので、「山に住むスコットランド人」という意味になります。



この呼称は現在では蔑称となっています。この言葉が「田舎もの」「時代から取り残された野蛮人」という意味を帯びているからです。「ヒルビリーホラー」というホラー映画のジャンルがありますが、サイコパスな田舎者さえ出てくればこのジャンルに分類されてしまうのは、もはやヒルビリーという言葉が本来の意味では使われていないことを示してますよね。



ということで、カントリーベアジャンボリーの熊たちはこの「ヒルビリー」と呼ばれる人たちを象徴しています。以下、ヒルビリーという呼称を用いて説明しますが、差別する意図は全くありません。


ヒルビリーの暮らし


先ほど述べた通り、アパラチア山脈は寒くて石がゴロゴロ、しかも傾斜があって農地面積が十分に取れませんでした。だから狭い土地でも十分収穫できるトウモロコシをおもに育てることにしました。トウモロコシはもともとアンデスの高地出身の作物なので、ここでも育ちやすかったのです。


トウモロコシは万能でした。実の部分は鶏や豚の飼料として、芯は干せば燃料や瓶の蓋として使え、圧縮すればコーンパイプという喫煙具になります。皮は肥料になります。そして何よりトウモロコシはお酒の原料となりました。



ヒルビリーは痩せた小さな土地で稼ぎを作らなければいけなかったので、トウモロコシを原料にお酒を作ることで生計を立てるようになります。スコッチウイスキーというお酒の種類がありますが、スコットランドでは蒸留というウイスキーを作るための技術が進んでいました。この技術を使って作られたのが、バーボンウイスキーやコーンウイスキーテネシーウイスキーです。作られた酒はジャグという陶器の瓶に詰めて保管されました。テッドが吹いてる瓶はこの酒の瓶なんですね。




しかし1920年、治安維持のために酒の売買が禁止されてしまいました。この時代を禁酒法時代と呼びます。このときから酒の製造すると逮捕されるようになりますが、ヒルビリーの人々は酒を作り続けました。


チカピンヒルという小高い丘で、ラケッティというアライグマが密造酒を作っていたら、蒸留機が大爆発してダムが決壊、水浸しになってしまったのがスプラッシュマウンテンのストーリーです。スプラッシュマウンテンのストーリーの基はヒルビリーの密造酒作りにあるのかもしれませんね。



警察にバレないように夜の月明かりの下で酒を作ったので、密造酒はムーンシャイン(Moon Shine)と呼ばれるようになりました。ムーンシャインはジョンデンバーのカントリーソング『故郷に帰りたい(カントリーロード)』の中にも出てきますよね。


酒の瓶はブーツの中に隠して売りさばかれたので、ブートレグ(Bootleg)と呼ばれるようになりました。海賊盤ブートレグと呼ぶのはこれが由来です。


また、密造酒を積んだ車が警察とカーチェイスしたことから始まったのがNASCARです。NASCARというのはライトニングマックイーンが走っているあのレースのことです。


ヒルビリーミュージック


ヒルビリー に限らず、農業をする人々には納屋が必須でした。ここには家畜の飼料や生活用品が置かれます。納屋は英語で''barn''と呼びます。ミッキーのムービーバーンのバーンは納屋という意味です。


Drive to Monmouth IL


冬は寒くてつらいので、誰もが春を待ち望みました。冬の間、家畜に餌を与えていくと納屋はだんだん空っぽになって、春が来る頃には中には物がなくなります。人々は春の到来を祝い、納屋で音楽を奏で踊りました。これがバーンダンス(納屋の踊り)です。彼らはギター、フィドル(ヴァイオリン)などの楽器を演奏しました。


ミッキーのバーンダンスではフィドルに加えてピアノやチューバが使われていますね。




バーンダンスはめでたいときに演奏されるものになりました。バックトゥザフューチャーのパート3で時計台完成を祝ってドクとクララが踊るのもバーンダンスです。



カントリーミュージックの誕生


バーンダンスからは沢山のジャンルが派生しました。


アパラチアで演奏されたことからアパラチアンミュージックマウンテンミュージックというジャンルが生まれました。



ケンタッキー州で自生する牧草から名前を取ったバンド、「ブルーグラス・ボーイズ」からブルーグラスというジャンルが生まれました。これはカントリーの中でもアップテンポであることが多いです。


ジャグや納屋にあるような洗濯板、ノコギリ、ひしゃく、石鹸箱などを使って演奏されたのがジャグバンドというジャンルです。ヒルビリーの人々は農業であまり稼げなかったので手作りの楽器を作ったのです。これはお分かりの通り、ファイブベア・ラグズが演奏しています。




これらの音楽は総称して「カントリーミュージック」と呼ばれるようになりました。「グランド・オール・オプリー」というカントリーミュージックのラジオ番組の発信地だったテネシー州ナッシュビルカントリーミュージックの聖地として有名です。テネシーという名前の熊が登場しますが、カントリーミュージックテネシー州の代名詞となっていることがこの背景にあります。


その後、カントリーミュージックはゴスペル、ブルース、R&Bと融合してロックンロールへと繋がります。


ロックンロールといえばエルビス・プレスリーです。リバーリップス・マックグロウはプレスリーの服装で登場しますが、彼が演奏するのはロックの中でもヒルビリーよりの「ロカビリー」というジャンルの音楽です。

カントリーミュージックやロックンロールでは、スライドギターあるいはボトルネックギターという奏法で演奏されます。これは指にスライドバーという器具を付けて弦を押さえて滑らせることでビブラートをかけられるものなんですが、このスライドバーはもともと酒瓶の首(ボトルネック)をカットして指にはめて使ったのが由来です。



このようにカントリーベアジャンボリーはカントリーミュージックのさまざまな面を見せてくれるアトラクションなんですね。




まとめ


カントリーベアジャンボリーは「ヒルビリー」と呼ばれる人々を描いた歴史の教科書です。文化的な背景から読み解くとさらに深く楽しく鑑賞できます。


カントリーベアジャンボリーのルーツを知りたくなったとき、「カントリーベアジャンボリーの文化史」に、またいつか来て下さい!(キットダヨ!)




最後に、カンベアドベントを主催してくださったユーキャンさん本当にありがとうございました!



クリスマスまであと4日!

参考文献、参考資料

・大和田俊行 著、アメリ音楽史講談社メチエ)

WOWOW映画塾 #198「ナッシュビル
https://youtu.be/qY0cEcfXGRQ

WOWOW映画塾 #54「ウィンターズボーン」
https://youtu.be/lC1lZmRQ7LI

町山智浩の映画ムダ話 #26 「わんわん物語