I can go the distance

Zero to Hero

霧の街、ロンドンの話


プーと大人になった僕』皆さんはご覧になったでしょうか。



予告が公開されたときは「画面がくすんでいて怖い」という感想が多かったように思います。




劇中でロンドンの街は、薄暗くて霞んでいるように描かれていました。これはクリストファー・ロビンの荒んだ心を表している面もありますが、実際のロンドンの街もこのように霧が多いことで有名なのです。


London fog


これには理由が2つあります。


1つ目は、イギリス沖合を流れる海流の影響です。南西から流れてくる暖かい海流(メキシコ湾流)と、北東から流れてくる冷たい海流(北極海流)はドーバー海峡で正面衝突します。これによって、メキシコ湾流の湿った空気が北極海流に冷やされ、霧となってロンドンの街に流れ込んでくるのです。



The English Channel
狭くなっているところがドーバー海峡



2つ目は、石炭の煙など凝結核になる物質が多かったことです。凝結核とは、気体である水蒸気が液体になるときに付着する物質です。ペットボトルの中に雲を作る実験をやったことがある方は、はじめに線香の煙をペットボトルに入れた記憶があると思います。この実験では線香の煙の粒子が凝結核となります。ロンドンでは暖房用の石炭の煙や工場の排煙が、実験における線香の煙と同じ働きをした結果、濃い霧が発生するのです。



余談ですが、ロンドンがオカルト話の多い都市となっているのは、ロンドン大火や切り裂きジャックなどの事件に加えて、この霧深く薄暗いという特徴が大きく影響していると思われます。



プーと大人になった僕』では、ロンドンの霧深いという特徴を生かした作品づくりが行われていました。他のロンドンを舞台にした作品もこの背景を踏まえながら観ると、より深く作品の世界を理解できるかもしれませんね。